ななこは、小さな会社の初心者Web担当。いつも笑顔がモットーの元気な女性です。ところが、ななこがWeb担当になった途端、彼女の周りではネットにまつわるさまざまな事件が起こり始めました。不思議な物知りキャラクター「ニッコリー」の助けを借りながら、ななこは事件を解決していくことができるのでしょうか。
ある日、ななこに見知らぬメールが届きます。内容は「貴社宛てのメールが間違って届くので困っています。掲載しているドメインが違っていませんか?」とのこと。
でも、ドメイン名って何?
何だろう?ドメインが違ってるって……。まるでわが社のドメインがニセモノみたいな言われよう。また「スマイル」になれないよ。
ああ、またトラブル?
ニッコリー!ねぇ! ドメインって何!?
ええ~!?そこ?ま、分からないと解決しないからね。
この場合は「ドメイン名」と言った方がいいと思うけど、「インターネットに接続するネットワークの組織名」を示すものだよ。
もう、難しい!
相変わらず一方的だね、これならどう?
ドメイン名は、例えていえば「インターネット上の住所」。広いインターネットの中で、ちゃんと目的のホームページなどへアクセスするためには、それぞれに住所がないと迷ってしまうよね。本来、インターネット上のコンピューターにはそれぞれIPアドレスという数字の住所が割り当てられているんだけど、何桁にもなる数字じゃ分かりにくい。だから文字列のドメイン名とひも付けることで、分かりやすくしているんだ。
つまり、ドメイン名はホームページにアクセスしたりメールを送ったりする際、分かりやすく相手を特定するために用いられる住所や名前のような文字情報だといえるね。メールの場合は「@」以下がドメイン名になるよ。
そうか、ドメイン名は住所なのね。IPアドレスは電話番号みたい。ホームページにアクセスするっていうのは、例えば友達の家に初めて行くのに電話番号だけじゃ場所が分からないから、対応している住所・氏名を頼りに行くって感じ?メールは手紙で、電話番号じゃ届かないから、宛名@住所(ドメイン名)になっているってことかな。
まあ、例え話としては分かりやすいかもね。
それにしても、わが社もちゃんとしたドメイン名があるのに…どういうこと?
オリジナルなのに紛らわしい?
例えば間違えて手紙が届いたり、行きたい場所に行けなかったりするのはどういうとき?
うーん。住所が違う、名前が違う?
そういうことだね。
ドメイン名には、ユーザーが自分で名前を決めて自分の好きなように利用できる「独自ドメイン名」と、無料で利用できるけど1つのドメインを複数で共有する「無料ドメイン名」があるんだ。
ブログサービスなどは、ドメイン的には「無料ドメイン名」だね。「サービスのドメイン名/IDアカウント」の形になっているものが多いみたいだね。言ってみれば無料ドメイン名は賃貸マンションみたいなものだよ。建物の名前は一緒だけとそれぞれ部屋は分かれているんだ。
なるほど、それなら分かりやすい。
一方、独自ドメイン名は、有料だけどドメイン名は自由に決められる一戸建てみたいなものさ。だから独自ドメイン名が他のドメイン名と似ていたりすると、入力ミスなどで、別のホームページにつながったり、間違って別の人にメールが届いたりしてしまう可能性があるから気を付けないといけないね。
ああ、なるほど。住所も一見同じに見えても、ちょっとだけ違っていたら迷っちゃうものね。
送付されてきたメールのドメイン名を確認してごらん。
あ、ドメイン名がそっくり…。直接入力して入力ミスしたら、間違えてアクセスしちゃうね。
そうだね。だからドメイン名って大切なんだ。
ドメイン名は電話帳のように
ドメイン名とIPアドレスが対応しているのは分かったわ。でも、見ただけじゃ、どう対応しているのか分からないわよね?どんな仕組みなの?
おっ、やる気スイッチ入ってきたね!
ドメイン名と対応しているIPアドレスも、コンピューターに割り振られる数字の住所だって教えたよね。ななこが言うように、仮にIPアドレスが電話番号だとしよう。名前や住所に当たるドメイン名が分かっていたら、どうやって電話番号を調べる?
うーん。住所録や電話帳みたいにちゃんと対応しているリストがあれば、名前や住所から調べるわよ。
そうだよね。電話帳なら、名字を調べて、名前を調べて、住所を調べて、電話番号が特定できるよね。
それと同じようにURLを順番に調べていくと、ちゃんとIPアドレスが分かる仕組みがあるんだ。URLはホスト名(ドメインの前の「.」<ドット>で区切られた部分で、ネットワークに接続された機器につけられた名前のこと。「www」などがホスト名)とドメイン名からできている。それを、「.」区切りごとに分割しながら後ろから順番に検索して、ホスト名に対するIPアドレスを探す仕組みがあるんだよ。その仕組みをDNS(ドメインネームシステム)というんだ。
DNSがあるから間違わないでアクセスできるんだよ。
なるほど。URLなどを小分けにして順番に対応しているものを探していけば、条件を満たすIPアドレスが見つかるってことね。電話帳では名字を先に見ていくけど、DNSは後ろからなのね。
大きな範囲から調べるからね。ドメイン名は後ろに行けば行くほど大きなカテゴリーなんだ。
なるほど。でも待って。ドメイン名が似ていてもそれぞれ割り当てられているIPアドレスは違うってことよね。ドメイン名をちゃんと入力すれば問題ないわけだし、それじゃわが社がニセモノみたいな言われ方をするのは変じゃない?
ちゃんと分かってきたね。その通りだけど、ドメイン名の仕組みをしっかり理解しないと、この事件は解決しないと思うよ。
もしかしてまたそのパターン?
ま、そういうこと。とりあえずまとめておくね。
こうしてななこの事件は再び幕を開けました。謎に迫るななこですが、ドメイン名の持っているあるヒミツが立ちはだかります。この続きはまた次回。